渋谷駅の山手線外回りホームに、2月14日〜28日の期間限定でオープンした「モッチッチ ステーション」。エースコックと、ロボット掃除機でおなじみのアイロボット、そして日本マイクロソフトによる特設ショップです。

このホームにはかつて、購入したカップうどんを店内で食べられる「どん兵衛屋」がありましたが、こちらが店員さんがお湯を入れて提供してくれる有人スタイルだったのに対して、今回の店舗は購入から清掃まで無人で完結することがポイント。
超指向性スピーカーが、自分だけに話しかけてくる!
店内に入ったらまず、ショーケースからカップ麺を取り出します。このとき、案内の音声が頭上のスピーカーから流れてくるのですが、なんとこれ、他の人には聞こえていません。

「超指向性スピーカー」という、特定の方向にだけ音を届けるしくみのスピーカーにより、ショーケースの前にいる人だけに音声が聞こえるようになっているとのこと。

実際、店内の席に座っていても、後から来たお客さんが操作したときの音声はほとんど聞こえませんでした。なにかと騒がしい都会の駅で、これは嬉しい配慮。
カップ麺を取り出すとすぐに、ケース横に設置されたディスプレイに金額が表示されます。これは、ケース全体の重さを計量し、減った重さに応じて金額を表示しているのだとか。つまり、2個取って1個分の料金しか払わない……といったズルはできないということです。

タイマー開始は「お湯を入れた瞬間」、座席のモニターに残時間表示
支払い後は、隣のコーナーでお湯を入れます。一見、ごく普通の電動ポットが設置されているだけのように見えますが、実はここにもテクノロジーがふんだんに使われています。

ポットの重量を計量し、ラーメン一杯分のお湯が注がれると5分間のタイマーがスタート。さらに、3Dセンサーを活用した動線分析ツールでその人の動きを追跡しているとのこと。
そして、ラーメンを持って好きな席に座り、モニターに表示された「タイマーを表示」を押すと、「お湯を入れた時点」からの残り時間が表示されます。モニターのボタンを押してからタイマーが始まるのではなく、ポットにお湯を入れた時点でスタートしたタイマーが、ここに連動しているのです。

実はこのとき、最初に座った席のタイマーが作動せず(前の利用者がパネルを最後まで操作せずに帰っていたため)、一度着席した後に隣の席に移動したのですが、そんな不規則な動きもしっかり認識されていました。
各席に1台、ロボット掃除機がスタンバイ
カウンタータイプの座席の奥には、水拭きのできるロボット掃除機「ブラーバ ジェット m6」がスタンバイ。また、テーブルはスマホの無線充電にも対応しています。

5分のタイマーが終了し、ラーメンが完成。商品名のとおりモチモチした、カップ麺とは思えない食感。ノンフライなので油っこさもなくとても食べやすい味でした。

食べ終わったら、最後にパネルの「お掃除を開始」をタッチ。ブラーバ ジェットが動きだして、テーブルをきれいに拭いてくれます。

最新テクノロジーが詰め込まれた店舗
この店舗のしくみを支えているのは、マイクロソフトのクラウドサービスMicrosoft Azureをベースにしたシステム。Azureと、計量ソリューションなど複数のシステムを連携させることにより、先述したポットの計量と動線分析、モニターのタイマー連携や、店内備品の在庫管理などを実現しているそうです。
昨年米国で登場した「Amazon Go」をはじめ、「無人店舗」はいま注目の販売スタイル。日本国内でも、昨年秋にJR赤羽駅で無人キヨスクの実証実験が行われ、3月14日開業の高輪ゲートウェイ駅では無人店舗の常設が予定されています。
外食や小売などはとくに人手不足が深刻な業界。テクノロジーを活用した無人化は、店舗を維持していくうえで不可欠なものと言えるのかもしれません。「モッチッチ ステーション」は期間限定ですが、今後、似たようなスタイルの無人店舗が広がっていくことに期待が高まります。
